2007/10/30

A.v.Zoelen plays Glazounv's on YouTube

抜粋のムービーとしては以前からあったのだが、いつの間にか全体が追加されていたので貼り付けておこう。Andreas van Zoelen氏の演奏で、アレクサンドル・グラズノフ「協奏曲作品109」の演奏ムービー。最初なかなか演奏映像が出てこなくてもどかしいが、進むにつれてきちんと出てくる。

Zoelen氏の名前は初めて聞いた。無名な奏者な上に所詮YouTube上のムービーのこと、イマイチだろう…とタカをくくって観ていると、意外なほどの上手さに驚くこと請け合い。CDとか出していないのかな?

Part1. 冒頭~


Part2. Andante~


Part3. カデンツァ~

アウレリア四重奏団の新譜プロモサイト

「Spiritual Overdrive」というタイトルの、アウレリア・サクソフォン・クヮルテット Aurelia Saxophone Quartetの新譜が発売開始されている。New Dynamic Recordsからのリリースとのこと。その新アルバムのプロモサイトができていたのでリンクを張っておこう。驚いたことにMySpace上に構築されているのだ。確かに、さまざまな種類のコンテンツを貼ることができるし、デザインも作りやすいし、双方向コミュニケーションがしやすいしで、なかなか良いアイデアなのかもしれない。

http://www.myspace.com/spiritualoverdrive

肝心のCDの内容だが、
・G.ブライヤーズ「アラリック I or II」
・G.フィトキン「STUB」
・J.t.フェルドハウス「Postnuclear Winterscenario」
・I.ウィルソン「So Softly...」

そのほか、フルーム、ローケンスの作品が入曲とのこと。上に挙げた4曲は、どれもがオリジナリティあふれるものばかりで、個人的に好きな作品が多い。そういえばふと思ったのだが、随分と癒し系な曲を集めてきたな…。タンゴ作品集とはまた違ったアウレリアの一面を見ることができるだろう。いくつかの録音は、リンク先で試聴もできるようだ。

ついでに、YouTube上に短いプロモーションムービーが公開されていたので、こちらは直接貼り付けておこう。BGMは、フィトキンの「STUB」。


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(ひとりごと)

「STUB」、とても好きな作品。どこかで吹いて日本初演したいんだよなー。だが楽譜未入手。

2007/10/28

ミュールの教え方

教育者としてのマルセル・ミュールの話。クロード・ドゥラングル教授曰く、「ミュール先生が教育者としてすばらしいのは、なにより弟子を勇気付けさせる教え方」だ、とのこと。つまり、決して楽器のテクニックや音楽的解釈を教えるのが上手いのではなく、あくまで心理的な側面でのサポートが上手いのだ、ということ。そういえば、ジャン=マリー・ロンデックス氏もこう言ってたっけ。"a good player, but not a good teacher..."

しかし、弟子の顔ぶれを見てみれば、ダニエル・デファイエ始め著名な奏者が多いことは言うまでもない。今となっては、ミュール氏がどんなレッスンをしていたか、というのは知る由もないが、彼に教えを受けたサクソフォニストのわずかな言葉の断片から、推測することができなくもない。その中に、サクソフォンの良い教え方、というもののヒントが存在しているようにも思える。それは、もちろんサクソフォンの世界にとどまらず…。

2007/10/27

Saxopet!発売開始

いつの間にやら雲井雅人氏参加アルバム「Saxopet!」がリリースされていた。サックス雲井雅人氏、トランペット神代修氏、ピアニストは藤井一興氏。何という豪華な顔ぶれ…。いったいどういう経緯でこの企画が実現したのかは知る由もないが、とりあえず聴くのが楽しみ。…うーん、東京に行く機会があったら買うか。

…リリース元のCrystonは良く聞くレーベル名だが「何で型番がOVCCなんだ」と思っていた。よくよく調べてみると、会社名とレーベル名というのは、得てして別物である場合が多いとのことであった(会社名がオクタヴィア・レコード、そのオクタヴィア発のCDのレーベル名がCryston)。我が無知の恥ずかしさ。

雲井氏が書いたレコーディングの記事はこちら。
http://www.kumoiq.com/kumoi/arc/dd200708.html

個人的には、ジャン・リヴィエの「トランペットとアルトサクソフォンのためのダブル・コンチェルト」に注目。ダニエル・デファイエがRTF-Barclayに吹き込んだ名演の印象が強いが、オーケストラをピアノに置き換え、どんな演奏が繰り広げられているのだろうか。

ちなみに、このCDに関するつくば系のネタを2つほど。その一、レコーディング場所は、なんとノバホール!その二、伊藤康英先生の「木星のファンタジー」入曲!というわけで、つくば在住のサックス吹き、ペット吹きの皆さん、もちろんそれ以外の楽器の方々も、ぜひ買いましょう。

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そういえば、雲井雅人サックス四重奏団の「レシテーション・ブック(Cafua)」発売は、まだなのかしらん?9月発売との話をどこかで耳にしたのだが。

2007/10/26

今年もモレティ氏が来日

ピアニスト、服部真理子さんのウェブページから引っ張ってきた情報。今年もファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏が来日されるそうだ。ここ数年は、毎年のように服部吉之先生の招きで来日されているのだが、去年初めてモレティ氏の演奏を生で聴くことができた。そして、CDでは再現不十分な、その美しい音色や豊かな音楽性に大変に感銘を受けたのだ…。会場は昨年に引き続き、旧奏楽堂。おおー、またあの素敵な空間でモレティ氏の演奏を聴くことができるのですね!

服部先生が、四重奏レッスンの合間にモレティ氏について語っていたことを、良く覚えている。「彼がまだ小さいときに初めて会ったが、当時から本当に上手かった」と。とても絶賛されていたっけ。デュオでCDも作っているし、お互いが相手のことをとても大切にしている雰囲気を感じ取ることができる。…と、話が逸れた。以下、本題の情報です。

【ファブリス・モレティ サクソフォンリサイタル】
出演:ファブリス・モレティ(sax)、服部真理子(pf.)
日時:2007/11/16(金)19:00開演
場所:東京音楽学校旧奏楽堂
入場料:当日3800円、前売り3500円
プログラム:
マルチェロ「オーボエ協奏曲ハ短調」
港大尋「遠みから遠ざかってみても」
ヴィラ=ロボス「ファンタジア」
リュエフ「シャンソンとパスピエ」
ボザ「アリア」
ビッチ「村娘」
ピアソラ/生野裕久「オブリヴィオン」
ワイル/港大尋「ユーカリ」
トマジ「バラード」
問い合わせ:
0467-24-8137、080-1208-6390(デュオの会)
fugusama@kza.biglobe.ne.jp
http://www7b.biglobe.ne.jp/~mariko-pf/fabrice%20concert%202007.html

去年と比べて、プログラムのボリュームが重めになっていてちょっと嬉しい。マルチェロ、ヴィラ=ロボス、トマジあたり、どんな演奏を繰り広げるのかとても楽しみだ。本当は、もっとオリジナルの大曲をずらずらと聴いてみたくもある…(笑)。東京のみならず福山、笠岡での演奏予定もあるとのこと。近くにお住まいの方はぜひどうぞ。

ちなみにモレティ氏のCDと言えば、Momonga Recordsの「SONATA!」が有名だが、私にとっては何と言ってもルデュー・カルテットにてソプラノを務めたサンジュレ、ピエルネ、パスカル、アブシルの四重奏曲集(Opus)が印象深い。私の中では最もスタンダードとなっている素晴らしいサンジュレ。デファイエQの録音と並んで、フランスのエスプリを振り撒くピエルネとパスカル。かと思えば、意外にアグレッシヴな一面をも魅せるアブシル。こちらで紹介しています。

Daniel Schnyder on YouTube

果たしてクラシックかといわれれば微妙なラインだが、なかなか面白い演奏映像であったので貼り付けておく。作曲+ソプラノサックスは、ドイツのサクソフォニスト、ダニエル・シュナイダー Daniel Schnyder氏。バストロンボーンはステファン・シュワルツ Stefan Schulz氏。ピアノを弾いている日本人女性は、沢野智子さん。曲名は、「Worlds Beyond」。本来5つの楽章の組曲になっているものからの、抜粋だそうだ。



映像品質も音声も良く、曲も演奏がカッコイイときている。ふとしたときに耳にしたくなるような、珠玉のコンサート・ピースといったところ。

2007/10/25

もたもた

モタモタと練習。私は譜読みが大変遅いため、何度かの練習を積まないとあわせ練習でまともに吹けないのだ。譜読みの遅さは、ひとえに「指の分離が悪い」ことに帰着すると思っているのだが、こればかりはどうしようもない。マッサージでもすれば良いのか。

ここ半年ほどS90-180を使っていたが、久々にCS80-C*に変えてみた。リードが3であるため、小気味良くコントロールできるのが面白い。しばらくこちらで行ってみよう(ネックのコルクを張り替えなければ)。ただ急速な下方向への跳躍は、マウスピース変えたところでどうにもならないか…最近調整に出していないことだし、もしやタンポに隙間が空いているのかなあ?

2007/10/24

宮島基栄著「私のえらんだビッグ5」

宮島基栄氏が、サクソフォーン演奏家5人を取り上げて綴った記事のタイトルである。ずっと昔のバンドジャーナルの記事「今日の名演奏家」という特集の一節であるが、ドルチェ楽器のKさんに頂戴したハードコピーが手元にあるのだ。

この記事で取り上げられている演奏家は、マルセル・ミュール、ジーグルト・ラッシャー、ヴィンセント・アバト、ダニエル・デファイエ、ジャン=マリー・ロンデックス(敬称略)。宮島氏の文章を読んだのは初めてだったが、好き放題書き綴る様は、記事というよりはエッセイのよう。それぞれの人物について書かれた文章中で、特に印象に残ったところを抜粋して載せておきたいと思う。

ミュール:
…数年前、フランスのボルドーで世界サクソフォーン・コングレスが行われた際、姿を見せていたが演奏はしなかったそうだ。聞くところによれば、引退後は一切音楽から離れ、田舎でバラ作りを楽しんでいるとのこと、さもありなんである。これは私の想像であるが、もうやりたいことは全部やってしまったのだろう。何も悔いはない、あとは好きなバラでも作って静かに暮らしたい。たぶんそんな心境だと思う。

ラッシャー:
…この当時、私はF#以上の音は出ないと思っていたし運指も知らなかった。イベールの小協奏曲にも楽譜に8va.と書いて点線でオクターヴ上を示してある。ミュールはオクターヴ下で吹いていた。イベールはラッシャーにこの曲を捧げており、たぶん初演のときはラッシャーは楽譜どおり演奏したに違いない。ラッシャーの音は無菌室で培養されたような音で、あくまでも透明で雑音が全くない。ミュールに比べると、温かみに欠けるのが残念であるが、その奏法は情熱的で輝きに満ちている。このレコードを聴いてから私は、F#以上のハイトーンをいかに出すか、が日課となった。

アバト:
アバトのレコードを聞いたときから私の目標は決まった。アバトのように吹きたい、アバトのようなプレイヤーになりたい。今でもその気持ちに変わりはない。ミュールは私にとって神であり、ただひざまずき、あやかりたいと思うのみである。アバトの音には親しみがあり、ここまでおいで、二人でデュエットでもやろうよ、と私を呼んでいるかのように聞こえる。

デファイエ:
…とその音を直接聞いて、腰が抜けて立てなくなるほどのショックを受けたのである。カザルスの音を聞いたときもそうだった。何しろレコードと生音はぜんぜん違うのである。レコードでは想像もできないスバラシイ音であった。はじめから終わりまでシビレ通しだった。
…キャトルロゾーは、はるか谷底でごそごそと吹いている感じ。よほど注意していないと、こまかいパッセージは聞こえてこない。デファイエ・クヮルテットのサウンドはパノラマのように眼前に楽器が浮かび上がる、けっして、音の大小の問題ではない。なぜ?やはりモノマネだからか。イミテーションではスケールが小さくなる。日本の演奏者もじぶんにしか、自分たちだけにしかできない演奏を考える時期にきているのではないかとも思った。


ロンデックス:
…デファイエの音は陰性であり音楽の中へ中へとのめり込ませる。いっぽう、ロンデックスは陽性で開放的、会場がぱっと明るくなる音である。日本に置いてもデファイエについて公のコンサートを持った二人目の人である。生もレコードも音で音でのびのびと歌い、おおらかな演奏である。
…ロンデックスのコンサートは大変楽しかったが、完全性を求めるなら、不満がないでもない。第一に、リズムが甘く、音楽の表現が単調に流れやすく、洗練性に欠けるうらみがある。やはりフランスの二番手というところか。


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うーん、面白い。ちなみに、時期的には1980前後の話だと思われる。ところで、デファイエのところに記してある、次の一文だが、現在の日本のサクソフォーン界も、この頃の「イミテーション」を心のどこかで引きずっているきらいはあるのではないかなとも思った。

> なぜ?やはりモノマネだからか。イミテーションではスケールが小さくなる。日本の演奏者もじぶんにしか、自分たちだけにしかできない演奏を考える時期にきているのではないかとも思った。

2007/10/22

Jean-Marie Londeix「Portrait」の復刻状態

以前ロンデックス氏の「Portrait」を入手したとの記事は書いたが、よくよく聴いてみると、「あれ?」と思う箇所が出てきたため、記しておく。

特に全体を通して感じることなのだが、大きい音が妙に割れ気味に記録されているような気がするのだ。そしてもう一つ、なんだか、全体的に音場が遠く聴こえる…。不自然なリバーヴがかかっている、と言ったら語弊があるか?もしかしたら、私の聴いている環境のせいなのかもしれないが…。

そう感じたのは、別の場所で原盤の復刻音源を聴いたことがあるため。「Portrait」に収録されているダルヴァンクール、デザンクロ、ロベール、ミヨーに関しては、すでにCrest盤まるまる一枚を、MDで所持しているのである。そちらの録音を初めて聴いたときは、もっと生々しい音色で迫ってきたようなイメージがあるのだが、どうも「Portrait」で聴いてもいまいち魅力を感じないのだ。どちらが録音状態に近いのか、というのは推し量りかねるが(何と無責任な)…まあ、大して聴き比べもしたことのないドシロウトの言うことなので、聞き流していただけると有難い。

素人が感じる、そういった一連の復刻状態の印象があるからといって、MD+Gの今回の復刻とリリースをけなすつもりは毛頭ない。そして、CD「Portrait」が価値を下げることはないだろうし、ましてやロンデックス氏の演奏自体の素晴らしさが変わることにもならない。素晴らしい演奏は、録音状態の制約などをぶち壊して、訴えかけてくるものがあるから(マリウス・コンスタンの「コンチェルタンテ」、作品も演奏も最高だ!第2楽章"Cake-Walk"の中間部、2度の鏡像フーガ出現と、続く冒頭主題の再現がカッコ良くてしょうがない)。

…うーん、でもなあ(←しつこい)。「Portrait」の復刻状態に関して、何かしら感想をもたれた方がいらっしゃったら、コメントいただければと思います。賛同論・反論・全く別の考え、どれも歓迎いたします。

2007/10/20

うお!

と声を上げて驚くほど、ものすごく面白い録音を扱っているサイトを見つけ、がんばってオーダーをかけようとしている。もしかして、意外と有名なサイトだったりして?上手くいったらご報告します。

支払い方法は、銀行送金or為替送付のみ…。うーん、どうしたものか。他の支払い方法もacceptしてくれないかどうか、掛け合ってみるか。

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(追記)

この件について、途中までは順調だったものの、ありえないくらいの大ポカをやってしまった…。いろいろが復帰して一段落したら、その大ポカのバカさ加減も含めて、まとめてご報告します。もしこの一件、ミスがミスのまま終わってしまったら、立ち直れないな…(とりあえず、住所不明時の郵便システムが、きちんと機能していることを期待するしかない)。

あぁーもうー。早とちり、覆水盆に帰らず、後の祭りという系列の失敗は、昔から良くするのだが、サックス関係ではここ数年で一番かも。

2007/10/19

Quatuor Axone "Through"

Quatuor Axone アクソン四重奏団のCD「Through(CREC-audio 06/048)」がオランダのMartijneさんから届いていた。一般にはまず出回ることのないディスクであるが、期待に違わぬすばらしい内容であったのだから、紹介しないわけにはいくまい。

アクソン四重奏団は、フランスの若手四重奏団。全員がパリ国立高等音楽院のサクソフォーン科を一等賞で卒業し、さらに四重奏としても同音楽院の室内楽科と第3課程(!)を卒業したという、結成されて間もないながら筋金入りのカルテットだ。ある筋では、ハバネラ四重奏団の後継とも評されるほど。公式ページは、こちら(→http://www.quatuoraxone.com/)。

メンバーは、以下の通り。アルトを吹いているエトリヤール氏は、第3回アドルフ・サックス国際コンクールで入賞されているので、名前を知っている方も多いのではないかと思う。

Gurvan Peron, soprano saxophone
Geraud Etrillard, alto saxophone
Cedric Carceles, tenor saxophone
Martijne van Dick-Jansen, baritone saxophone

パリ音楽院の第3課程を卒業すると、音楽院がメイヤー財団の助成金を使用して、コンセルヴァトワールが卒業生の演奏を収録したCDを製作してくれる、というシステムがある(ジェローム・ララン氏のPaysages lointainsは、おなじみですね)。リンク先にリストがあり試聴可能だが、若さゆえの覇気と、人間業を超えたレベルの技術力が融合した演奏を聴くことができるのが、このシリーズの面白いところ。

そして、アクソン四重奏団は数年前より個人的に大注目している団体。今回幸いなことにメンバーの方とコンタクトを取ることができ、音楽院製作の同シリーズとして名を連ねている「Through」を送っていただいたのだ(この場を借りてMartijneさんに大感謝!!)。曲目もなかなか凄い。

・シュミット「サクソフォーン四重奏曲作品102」
~Interlude~
・ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第8番」
~Interlude~
・棚田文則「ミステリアス・モーニングII」
~Interlude~
・Juraj Valcuha「サクソフォーン四重奏曲」

ネオ・ロマンティック最大の名曲、シュミットを冒頭に配置し、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲からの編曲、パリ発で最も新しい部類に入る棚田氏の作品、そしてスロヴァキア生まれの作曲家・指揮者であるJuraj Valcuha氏の新作にて幕を閉じる。曲間には、Valcuha氏の手によるさまざまなスタイルのInterlude=間奏曲が挿入されており、アルバム全体に統一感を感じさせる作りとなっている(ララン氏のCDでは、即興だった)。

肝心の内容だが、もう本当にすばらしい!最初のトラック、シュミットの第一楽章を聴くだけで、もうこのCDが只者でないことを知るのには十分。…うーん、どう表現したらよいのかな、あの複雑で入り組んだシュミットであるはずなのに、まるで澄み切った青空を眺めているかのような不思議な感覚に陥ったのだ。サックスとしての基本的な制約を軽々と飛び越え、作曲家と聴衆を直にコンタクトさせることに成功しているだけでなく、(無理強いではなくて)自然と聴き手を作曲家の音に注目させるような、特殊かつ不思議なオーラを感じる。さらに4本のベクトルが完全に一致しているのは、言うまでもなし。録音の多いシュミットだが、このレコーディングは決定版の一つと断言できよう。

ショスタコーヴィチは、サクソフォン・クアドラットの演奏があるが、比べてはいけませんね(笑)。テンションとテクニック、凄すぎ。弦楽器のために書かれたのだよなあ、これ。サックスってこんなに何でもできる楽器だっけ?第2楽章の旋律線のユニゾンがー!基本的にものすごいダイナミクスの差で音楽を運ぶため、特にショスタコーヴィチのような曲から受ける印象が倍増されて感じる。単純なダイナミクスではなく、良く練られたバランス中での増減は、音楽を立体的に浮かび上がらせる。次のミステリアス・モーニングも然り、こちらもヤバイです。ハバネラ四重奏団以外に録音が増えたのは嬉しいなあ。どちらが良いかは、お好みで…。

間奏曲として、また最後に「サクソフォーン四重奏曲」として配置されたJuraj Valcuha氏の作品が、音響遊びに徹した作品で大変に面白かった。民族音楽的な和声を下敷きに、急激なダイナミクスや音色の変化・アーティキュレーションの変化を高密度で並べたものばかりで、聴きやすく楽しい上に、演奏も堪能できるという代物。この曲、もし他の四重奏団が演奏しても、これほど面白くは聴けないだろうなあ。それだけ、彼らの演奏と密に結びついている、ということでもあると思うが。

Martijneさんから「友人や音楽仲間に聴かせてあげて下さいねー」とのお言葉を頂戴しているので、何かの機会にCDを直接手渡しで貸すことができそうな方で、聴きたい人は私に言ってください~。

2007/10/18

クラシック・サクソフォン・レパートリー100曲 version 0.2

8月に書いた記事「クラシック・サクソフォン・レパートリー100曲 version 0.1」の改訂版を作成した。

・サクソフォン独奏、アンサンブル、室内楽のための代表的なオリジナル作品、100曲を挙げる。
・オーケストラの編成としてサクソフォンが乗っている作品は、含めない(今後方向性が変わる可能性もある)。
・意見を取り入れつつ積極的に改訂を行い、できる限り"General"なリストを目指す。改訂ごとに、このブログ上で最新バージョンを公開。

タイトル通り、「クラシックサクソフォンの世界から代表的なレパートリーを100曲を挙げたら、どんなリストになるだろう」をコンセプトに据えている。今回は、資料を参照しながらじっくり考えてみよう。

まずは、黎明期のレパートリーから。

サンジュレ「四重奏曲第一番」
ドゥメルスマン「オリジナルの主題による幻想曲」
フロリオ「アレグロ・ドゥ・コンセール」

3曲。ムラエールト、アーバンなどいくつか入れたいものもあったのだが、録音が少ないのでとりやめ。この時代はとにかく、サンジュレの「四重奏曲」の知名度が飛びぬけている。改訂を施したバージョンがMolenaarから出版されており、世界中の奏者の定番レパートリーとなっているのは、ご存知の通り。

次は、フランス・アカデミズム発の独奏曲(無伴奏・ピアノデュオ・協奏曲)

イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
カプレ「伝説」
ガロワ=モンブラン「6つの音楽的練習曲」
ケックラン「練習曲」
ゴトコフスキー「ブリヤンス」
コンスタン「コンチェルタンテ」
チェレプニン「ソナティネ・スポルティヴ」
ダンディ「コラール・ヴァリエ」
デクリュック「ソナタ」
デザンクロ「プレリュードとカデンツ、フィナーレ」
デュボワ「協奏曲」
シュミット「伝説」
ジョリヴェ「幻想的即興曲」
ダマーズ「ヴァカンス」
ドビュッシー「ラプソディ」
トマジ「バラード」
トマジ「協奏曲」
パスカル「ソナティネ」
ブートリー「ディヴェルティメント」
プラネル「ロマンティック組曲」
フランセ「エキゾチックな5つの踊り」
ボザ「アリア」
ボノー「ワルツ形式によるカプリス」
ミヨー「スカラムーシュ」
モーリス「プロヴァンスの風景」
ランティエ「ユースカルデュナーク」
リュエフ「ソナタ」
ロバ「9つのエチュード」
ロベール「カデンツァ」

29曲。さすがに多いな。フランスの曲ではないものが紛れている可能性あり(事実、最初のフィルタリングでアブシルを外しそこなった)。コンスタンは「ムジク・ドゥ・コンセール」を外して「コンチェルタンテ」へ入れ替え。「ムジク~」でも良いのだが、ある意味現代のフランス・サクソフォン界の構図を決定したともいえる、1978年のギャップ・サクソフォーンコンクールの本選課題曲を入れないわけにはいくまい。こういった「歴史上重要なレパートリー」は、コンセプトからやや外れるかもしれないが、扱いは難しいところだ。そのほか、ジョドロフスキを泣く泣く外すなど、変更多数。

フランス・アカデミズム発の四重奏曲&室内楽曲。

エスケッシュ「タンゴ・ヴィルトゥオジテ」
カルメル「コンチェルト・グロッソ」
ケックラン「ジーン・ハーロウの墓標」
ジャンジャン「四重奏曲」
シュミット「四重奏曲」
ショルティーノ「異教徒の踊り」
ティスネ「アリアージュ」
デザンクロ「四重奏曲」
デュボワ「四重奏曲」
トマジ「春」
パスカル「四重奏曲」
ピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」
プラネル「バーレスク」
フランセ「小四重奏曲」
ボザ「アンダンテとスケルツォ」
ベルノー「四重奏曲」
ランティエ「アンダンテとスケルツェット」
リヴィエ「グラーヴェとプレスト」
リュエフ「四重奏のためのコンセール」
ラクール「四重奏曲」

20曲。ランティエは迷ったが一応残した。「アリアージュ」だが、ティスネ入れようと思ったらこの曲しかないもんな、しょうがない。しかし、このリスト!現代にあっても、マルセル・ミュール四重奏団が遺してくれたレパートリーにしがみついている、という現状が浮かび上がってくるようだ。

次は、フランス以外の、ヨーロッパの独奏曲。

アブシル「ソナタ」
イトゥラルデ「小さなチャルダッシュ」
グラズノフ「協奏曲」
コーツ「サクソ・ラプソディ」
シュトックハウゼン「友情に」
ダール「協奏曲」
デニゾフ「ソナタ」
ドナトーニ「ホット」
ナイマン「蜜蜂が踊る場所」
ヒンデミット「ソナタ」
フェルド「ソナタ」
フェルドハウス「Grab It!」
フサ「エレジーとロンド」
ベネット「スタン・ゲッツのための協奏曲」
ベリオ「セクエンツァIXb」
マルタン「バラード」
ラーション「協奏曲」

17曲。フランスを離れると、とたんにラッシャーに献呈された曲が増えるのがお分かりだろうか。グラズノフ、コーツ、ダール、フサ、マルタン、ラーション…。20世紀前半におけるフランスの外でのサクソフォーンの発展を担ってきた、ラッシャーの功績が浮かび上がってくる。

ヨーロッパ産の、四重奏曲&それに準じた室内楽。

ヴェーベルン「四重奏曲」
クセナキス「XAS」
グラズノフ「四重奏曲」
デニゾフ「五重奏曲」
ナイマン「トニーへの歌」
ヒンデミット「コンチェルトシュトゥック」
フェルド「四重奏曲」
ベネット「四重奏曲」

8曲。ロシアの作品が少ない。グバイドゥーリナとか、スミルノフ、ラスカトフなど思いつくのだが、デニゾフが有名すぎて入れるのは微妙かな…。ヴェーベルン「四重奏曲」は入れるべきでしょう!唯一ウィーン新楽派の筆による、珠玉の作。

アメリカ大陸の作品。ソロと四重奏と室内楽を一気に挙げます。

ヴィラ=ロボス「ファンタジア」
ウィリアムズ「エスカペイズ」
ウッズ「ソナタ」
ウッズ「3つの即興曲」
オルブライト「ソナタ」
カーター「カノン風組曲」
グラス「四重奏のための協奏曲」
クレストン「協奏曲」
クレストン「ソナタ」
ケージ「Four5」
スミス「ファンタジア」
トーク「July」
ハイデン「協奏的幻想曲」
ハイデン「ソナタ」
ペック「上昇気流」
マスランカ「ソナタ」
マスランカ「マウンテン・ロード」
ムチンスキー「ソナタ」

17曲。カーター、ケージやジョン・ウィリアムズの作品を追加した。オルブライトの作品は、アメリカではベリオ、クレストン、デニゾフ(=「ABCD(Albright, Berio, Creston, Denisov)」ともいうらしい)と並んで定番。ジョン・サンペン周辺の新しい作品を入れられなかったのが、少し残念。

最後に、世界で通用する日本産の楽曲を挙げましょう。

伊藤康英「協奏曲」
棚田文則「ミステリアス・モーニングIII」
野田燎「即興曲」
湯山昭「ディヴェルティメント」
吉松隆「ファジイバード・ソナタ」

5曲。伊藤康英先生の「協奏曲」は、そのあまりの難易度の高さから演奏されることは少ないが、この曲の演奏によって、現在の日本のサクソフォーン界が(良くも悪くも)産声を上げたと、言えるのだ。野平一郎の「アラベスクIII」は、入れたかったなあ。

さて、作成してみて、前回よりはいくらかマシなリストになったと思うのだが、いかがだろうか。

ドゥラングル教授公開レクチャーの情報

11/25 17:00~に、東京のアクタス・アンナホールでクロード・ドゥラングル教授の公開レクチャーがあるそうな。ちなみに入場無料。その日はTOEICを受けるのだが、ぎりぎり間に合いそう(いや、10分くらい遅刻しそうだが)なので申し込んだ。fさん、情報ありがとうございました。

レクチャーに関する詳細は、以下のリンクから参照できる。
http://www.nonaka.com/j/event/index.html

NSFに載っていた情報では、「サクソフォーンレパートリーとその可能性」的な内容だったと記憶するが、違う内容になったようだ。まあそれはそれ、11/23の静岡と併せてとても楽しみである。クラシカル・サックスを対象とした世界最高の教育機関「パリ・コンセルヴァトワール サクソフォーン科」の一端を見ることができる…かな。

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それにしても、最近ドゥラングル教授まわりの情報は「表記のゆれ」があって検索しづらい。静岡音楽館AOI発の情報が、全て「ドラングル」となっているのに対し、野中貿易発の情報は「ドゥラングル」。Googleで検索をかけるときも、常にorを挟まなければ…取りこぼしがありそうで怖いのだ。

"Quest"企画者の野平氏、それから実際に師事された井上麻子氏やルマリエ千春氏あたりは「ドラングル」と言っているから、実際の発音は「ドラングル」に近いのだろうが、ほぼ一般的に浸透している「ドゥラングル」にタッチしないのは、いかがなものか。

…5回も呼び捨て、すみませんでした。

2007/10/16

ヘムケ氏のLPが到着

まだ聴いていないので詳しくは後日レビューするが、フレデリック・ヘムケ Frederick Hemke氏のLP「The American Saxophone(Brewster Records BR1203)」が到着した。送料込みで約2800円なり。1971年出版の代物で、どうやら未開封品の可能性が高い(透明ビニールに入ったまま)。

ダール、フサ、ベンソンの曲が入った、今となっては伝説的なLP。最近「The American Saxophonist(EnF Records)」というタイトルで「Music for Tenor Saxophone(Brewster Records BR1204)」とともにCD化されたらしいが、流通に乗っていないため入手が後回しになっていた。そんな時に、たまたま某所でオリジナルのLPを見つけて思わず買ってしまったと言うわけ。「Music for Tenor Saxophone」は持っているし、もう「The American Saxophonist」買う必要ないかな…なんて。

ジャケットの絵は、ヘムケ氏自身(!)の筆による抽象画「The Messenger」。神の住む世界より「音楽」を伝えるために地上へと降り立った伝道者といったところか?ヘムケ氏はこの絵でなにを表現しようとしたのだろうか。

さて、どんな演奏が繰り広げられているのか(「Music for Tenor Saxophone」がもの凄かっただけに)、図書館に持ち込んで聴くのが楽しみだ。

2007/10/15

本番予定など

今年度後半のサックス関係の本番は、サクソフォーン・フェスティバル、サクソフォーン協会のコンクールと、もしやるなら2008/3/1(土)19:00~に自主公演のコンサート、というところ。それぞれの曲目が決定しつつある。

あくまで仮決定みたいなものだが、協会のコンクールは、リュエフ「四重奏のためのコンセール」から。フェスティバルは、フェルドハウス Veldhuis の「Heartbreakers」より…ただし、コンボバンド版ではなく、New Century SaxQのために書かれたsax4+tapeのバージョン。どちらも参考演奏・楽譜は入手済み。今週末に初合わせの予定だが、取り急ぎ「Heartbreakers」は12月のフェスティバルに間に合うのかしらん?

コンサートを行うとしたら、その辺の曲を組み合わせつつ、さらい済みのバーバー、トルヴェールの彗星を組み込む、ということになるのかな。ヴェーベルンもやりたいなあ。

研究&就職活動をしながらの本番ラッシュということになるが、上手く時間を見つけつつしっかりこなしていきたいところ。

2007/10/13

こんな時代だからこそ

インターネット利用環境のエンドユーザへの浸透は、私たちの生活を大きく変えてしまった。家にいながらにして、地球の裏側で起こった出来事をキャッチすることができ、また逆に、手元のコンピュータから世界に向けて情報を発信することができる。

音楽の世界においては、音楽家・愛好家たちが自らのWebサイトを立ち上げ、世界へ向けて情報を発信することが広まった。さらに、近年Weblogの普及により、特別な専門知識がなくともブログサイトを作成することができるようになった。結果、国内・海外問わずプロのサックス吹きの方々のWebサイト・ブログがたくさん存在しているということは、今さら述べるまでもないだろう。

しかし、こんなにインターネットが身近にありながら、サクソフォンの世界において実際に情報発信を行っている人は少ない。半分どころか、一定以上の更新を行っているWebサイト・ブログは、サックスを吹いている人全体の一割にも満たないのではないか。敢えて、演奏家側だけに注目したとしても、ブログ等を運営している人は(増えつつはあるものの)まだまだ少ないと言える。

人々がインターネットを利用して情報を入手する、こんな時代だからこそ「情報発信」は重要だと思うのだ。私も、サイトやブログを運営している奏者であれば、名前を見た瞬間に「知っている!」と(勝手に親しみが湧きつつ)思うものだが、情報発信していないような聞いたことのない名前だと、コンサート情報で名前を見てもいったいどんな方なのだかさっぱり。アンテナをがんばって張っている私ですらこれだもの、ごく普通の音楽ファンに、名前が届くはずもなく。

演奏家として一般に名前を知らしめると言えば、10年前まではコンクールなどで入賞するくらいしか方法がなかったものだとも思うのだが、いまや状況は劇的に変わりつつある。インターネットの力は強大だ。愛好家側としても、インターネットを通じて音楽家の情報を手に入れることができるようになるのは、ありがたいことなのだ。

というわけで、期待しています>どなたか。サックス吹きの方のブログが増えてくれると、嬉しいです。最近はmixiに人が流れているようだが、やはりここは世界へ向けて、WWW上で情報公開を!

ミハ(ミーハ)・ロギーナ Miha Rogina氏のウェブサイト

ミハ・ロギーナ Miha Rogina氏は、スロヴェニア出身のサクソフォニスト。パリ国立高等音楽院第3課程に在籍しながら各所で活躍されている、次代のサクソフォン界を担う一人となることを期待されている人物。

ネットをさまよっていたら、氏の公式ウェブサイト、なんてものを発見した。
http://www.miharogina.com/

英語・スロヴェニア語に加え、なんと日本語のページがある!まったく知らなかったのだが:今まで度々来日されており、かなりの親日家であるようだ。今年の暮れにも来日の予定があり、アンナホール、宝塚ベガホール、サクソフォンフェスティバル他にて演奏を行う予定だそう。聴けると良いな。そういえば、メイヤー財団が出資するCDのレコーディング予定もあるとか…。こちらも楽しみにしていよう。

ちなみにこのウェブサイト、出来立てホヤホヤのサイトにしてはコンテンツが充実しており、思わずあちこち見てしまった。「レッスン」コーナーには、来日中にレッスンできますよ、と書いてある…おおー。「ギャラリー」のコーナーでは、"Fabrizio (Hidden)"にウケた(爆)。

2007/10/11

ムラヴィンスキーの1983年ミンスク・ライヴ映像

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニーの、ミンスク・フィルハーモニーホールにおける1983年11年20日の演奏会ライヴ映像、なんてものが存在する。その映像がずっと前にNHKの芸術劇場で放映されたらしいのだが、その際実家の父がビデオに録画していたらしく、送ってもらった。プログラムはシューベルトの「未完成」と、ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」。もちろん、目的はショスタコ。

ショスタコーヴィチの個人的ベストは、ムラヴィンスキー指揮レニフィルの1982年11月18日のライヴ盤。Scoraから発売されているもので、いったい今までに何回聴いただろうか。今回、父から送ってもらったビデオは1983年のライヴ版との事で、比較的時期が近いこともあり、近い解釈が聴けるだろうと楽しみにしていたのだが…。

映像は、意外とクリア。音質はイマイチだが(そもそもこの時放映されたNHK所有のマスター・テープ自体、ダビング物だったという話すらある)、演奏を楽しむには十分だ。第1楽章冒頭から、期待通りのスピードと音色!やはり、Scora盤との差はわずか1年ということもあり、さすがにほとんど解釈が変化していない。前半部、かなり管楽器全体の調子が悪く聴こえるが、だんだんと乗ってきて、第4楽章の中間部での弱奏から、「歓喜」の終結部あたりは本領発揮。ちなみに弦は、いつもの調子でアンサンブル凄すぎ。さすがレニフィル。

ムラヴィンスキーの指揮姿を中心に捉えているのだが、こんなおっそろしい顔に演奏中に睨まれたら、泣いてしまいそうだ。視線を巧みに使いながら、オーケストラのバランスをコントロールしていく様子が確認できるのが、なかなか楽しい。そういえば、ムラヴィンスキー、第2楽章・諧謔的スケルツォの冒頭で、なぜか一瞬だけ見せた「ニヤッ」とした顔が忘れられないなあ。どうしたんだろ?

というわけで、映像付のショスタコーヴィチ「第5番」としては、なかなか秀逸なメディアであった。DVDとかにはならないのかな?時間ができたら、シューベルトのほうもじっくり観てみよう。

Aliud RecordsのCD

Aliud Recordsという名前は初めて聞いたが…。まずは、テナーサックス的興味のディスクから。アウレリア・サクソフォン四重奏団 Aurelia Saxophone Quartetの現アルト奏者、Niels Bijl氏のソロCDで、「Chant du Saxophone Ténor」というテナーサックスとピアノのアルバムだ。

・A.グラズノフ「吟遊詩人の歌」
・R.シューマン「アダージォとアレグロ」
・W.S.ハートレー「ポエム」
・D.スミルノフ「イヴニング・ソング」
・F.マルタン「バラード」
・F.シュミット「コッペリウスの歌」
・R.ウォード「コンチェルト」

プログラム的には、かなり良い感じ。Bijl氏のサイトで試聴できるので、ぜひどうぞ。ハートレーの「ポエム」が、CDとして発売されるのは良いですね。ウォードとスミルノフの作品は初めて名前を聞いたが、どんな曲なんだろう。

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珍しいこと、サクソフォンとパーカッションのデュオ"Duo Switch"。この編成だと、かなりレパートリーが限定されると思われるが、なかなか興味深いラインナップをそろえてきた。

・スイッチ「Alejandro Castanos」
・C.ロバ「Dream in a Bar」
・I.クセナキス「Dmaathen」
・湯山昭「ディヴェルティメント」
・J.t.フェルドハウス「Grab It!」

何といっても、クリスチャン・ロバの「Dream in a Bar」を聴けるのは嬉しい。クリスチャン・ロバって、かなりたくさんのサクソフォンのための作品を書いているのだが、いかんせん録音が少ないのが寂しかったところで(…うあー、クリスチャン・ロバと言えば、結局「Osmos」も買えず終いだったなぁ。凄く聴きたかったのだが)。クセナキスの「Dmaathen」は、もともとオーボエとパーカッションのための作品だそうだが、どんな曲なんだろうか。「Grab It!」は、どうやらドラムを加えたバージョン…怖いもの見たさで、聴いてみたい(笑)。

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ところで…これら2つのCD、いったいどこで買えるんだ??

2007/10/10

東西ファンタジア対決!?

オーティス・マーフィ Otis Murphy氏とケネス・チェ Kenneth Tse氏。かたや、マーフィ氏と言えば、インディアナ大学サクソフォーン科教授であり、チェ氏と言えばアイオワ大学のサクソフォーン科教授。両者とも、ルソー門下から出発したアメリカを代表するサクソフォニストであり、日本へもその活躍はCDや来日を通して伝わってきているのは、ご承知の通り。ちなみにお二人とも公式サイトをお持ちだ。

・オーティス・マーフィ氏の公式サイト
http://www.otismurphy.com/
・ケネス・チェ氏の公式サイト
http://www.kenneth-tse.com/

さて、両サイトとも充実した内容を誇るのであるが、一本ずつ演奏ムービーが公開されている。その内容が、驚いたことに両者ともクロード.T.スミスの「ファンタジア」なのだ!え、偶然?それとも、わざとぶつけたのか!?とにかく、ムービーへのたどり方は、以下の通り。両方ともライヴ映像であり、録音状態や映像はそれほど期待できないが、普通に観る分には問題なし。

・マーフィ氏のサイト:[Photo Galleries]をクリック→再生ボタンをクリック。
・チェ氏のサイト:左のメニューから[Meida LIVE!]をクリック→[Click Here for the movie]をクリック→ウィンドウが開くので、再生ボタンをクリック。

マーフィ氏は、レイ・クレーマー氏指揮の武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブル。昨年来日時の演奏か。対するチェ氏は、ジェリー・ジュンキン氏指揮の香港ウィンドフィルハーモニア。

しかし、この「ファンタジア」って、少なからず難しい曲であるはずだが、音色の美しさと圧倒的な上手さには驚くばかりだ。何ですか、どこまでもしなやかな音色、このフラジオ音域の美しさ(しかも鼻歌でも歌うように軽々当てるんだから!)。チェ氏にいたっては暗譜か…。マーフィ氏は、前半少し調子が悪そうだが、カデンツァ部分~コーダの煽りが凄い(笑)。

筑波研究学園都市吹奏楽団第21回定期演奏会

学園祭の最終日、雨の中ノバホールへと足を運んだ。最近、コンサートを聴きに行くと良く雨に降られるのだが、なぜ?

2007/10/8(月・祝)14:00開演
出演:野村孝、野宮敏明(以上指揮)
筑波研究学園都市吹奏楽団
場所:つくば市ノバホール
プログラム:
R.ジェイガー「シンフォニア・ノビリシマ」
C.ジョヴァンニーニ「コラールとカプリツィオ」
T.ドス「聖フローリアン・コラール」
F.チェザリーニ「トム・ソーヤ組曲」
保科洋「メモワール」
B.アッペルモント「交響曲第一番"ギルガメッシュ"」

つくば市の市民吹奏楽団。Mぽむ、たー君、fさんを始めとして、知り合いが何人も乗っており、去年に引き続いて聴くことができた(チケット、どうもありがとう)。今回は、2階席の中ほどで聴いた。客入りは、7割前後と言ったところ。

基本的に、前回の定期演奏会で感じたのと同じ印象だが、なんか去年よりもずっと上手くなっているような…。特に、両指揮者が振るそれぞれのメイン曲「トム・ソーヤ組曲」「ギルガメッシュ」は、見事なもので、強奏部分の迫力みならず、弱奏部分での安定度が増している気がした。

ジョヴァンニーニの「コラールとカプリツィオ」がなかなか面白かったかな。"カプリツィオ"部分で、気まぐれなつむじ風のごとくホールの中を駆け巡る高速フレーズがしっかり再現されていて、聴いていてかなり楽しかった。ドスのコラールは、演奏はまだしも曲がイマイチ…いや、イマニかイマサンくらいだったか。ジェイガーは、きっとオジサン世代からの曲提案なのでしょうなあ(笑)。トム・ソーヤで、きっちりとキャラクターと場面を描き分けて前半は終了。

後半の野宮氏の指揮による「ギルガメッシュ」は、テンションと完成度が同居した、見事かつ感動的な演奏だった。コンクールなどに持っていっても、けっこう良い成績を修められそうな気がするんだけどなあ…と思うのは私だけ?前述の通りけっこう後ろのほうで聴いていたのだが、余りの迫力に驚くことしばし(決してうるさくはならない)。一転、最終部分での弱奏まで構成感を保ちながら維持するのは、指揮者の力量もあるのだろうか。アンコールは、「ロマネスク」、「ブロックM」。「ブロックM」は、毎度のことのようだ。

というわけで、今年も満足して帰路につくことができた。また、来年も聴きに行こうと思っている。

2007/10/09

昨日は学園祭最終日

昨日は、都市吹の定演を聴きに行った後(こちらの感想はまた後で書きます)、楽譜を引っつかんで楽器を抱えて、猛ダッシュでステージへ。ギリギリ後夜祭のステージに間に合った。宝島から始まり、これでもかというテンションで突き進む。1日経った今でも、トランペットの爆音がまだ耳の奥から聴こえてくるようだ。

後夜祭のコラボレーション・ステージは、両功労者であるA.A.氏(企画責任者)とS.S.氏(指揮・アレンジ)の存在あってこその盛り上がり!楽しいひと時を、どうもありがとうございました。

2007/10/08

Daniel Kientzy「Saxologie(Saxology)」

ダニエル・ケンジー氏の著作「SAXOLOGIE ~du potentiel acoustico - expressif des 7 saxophones(NOVA MUSICA)」を購入。サクソフォンからひねり出すことが可能なありとあらゆる(アコースティックな)奏法を、フランス語と豊富な図表にて解説した本で、全595ページに及ぶ分厚い書籍だ。今回、Adolphesax.comのダニエル・デュラン氏を始めとするチームの方々のご尽力により無事入手することができた。この場を借りて感謝申し上げます。

さて、おおよその内容は、以下の通り:

・サクソフォンの歴史・倍音系列・部品等について述べられた基本データ
・100の特殊奏法ひとつひとつについて、ひたすら解説
・付録CDの楽譜(ソロパート&スコア)

中でもメインの特殊奏法の章が、想像以上に詳しく解説してある。ざーっと図だけ眺めてみたが、どこまでもどこまでも濃い(^^;;;;面白いと感じたのは、どの奏法も基本的に倍音列によって分離されていること。サックスという楽器を極限までシンプルに捉えたのち、原点を出発点として「特殊奏法」というテクニックを照射していくような眼差しを感じる。

以下に、特殊奏法の章の内容を2つほど挙げてみます。

(例1)トリルの項。譜例と解説の後、奏法から奏法への連結が容易かどうかというテーブルが示され、続いてソプラニーノからコントラバスまでトリルが実用に耐える速度で可能かどうか、一音一音について35ページに渡って示される。たとえばソプラニーノサックスにおける、レ+1/4(微分音)と以下の音をトリルする時、どの程度の速度で可能かというテーブルは、次のようになるらしい。
とても速い:なし
速い:ミ+1/4、ファ#-1/4
ふつう:ソ#、シb
遅い:ミ、ファ、ソ、ラb、ラ、シ、ド
とても遅い:ミb、ラ+1/4

(例2)サックスを2本くわえて吹く、BIPHONIE奏法の項。何と何を組み合わせたときに、どの音の組み合わせが可能か、というのを詳細に示してある。たとえば、バスサックスとアルトサックスの組み合わせならば、バスでド#を伸ばしながら、アルトの最低音シb~オクターブ上がった左手ミ辺りまでが、容易に可能。最高でもファ~ド#まで(それ以上は、息のスピードの関係で厳しいようだ)。

…うーん、凄い本だ。フランス語がまったくわからず、なかなか読み進められないダメっぷりを発揮しているが、手元に置いておいて損はない。というか、手元に置いただけで満足だったりして(笑)。まあ、大変だが少しずつ解読していこうと思っている。

パソコンが壊れた

以前、ハードディスクがクラッシュしたことがあったが、今回はある意味もっと悪質。ノートPCの蝶番が割れて、蓋を閉められなくなってしまった(爆)。もう、デスクトップみたいに据え置いて使うしかありませんがな。

蝶番部分は、買ったときから強度に不安を感じていたものだから、「やはり」という感じではあるのだが。ちなみにこのPC、買ってからおよそ4年経っているが、社会人になるまでは買い替え予定はない。

2007/10/07

学園祭進行中

2日目が終わって、ひと段落。3つ本番があり、合間に知人の演奏を聴きに行ったり、いろいろ。みなさん上手くて、観ていてとても楽しい。

自分が演奏したのは(どれもテナーだ):
・四重奏で長生淳の「トルヴェールの彗星」と、グリーンスリーヴス
・High-Jinks Wind Orch.で、吹奏楽のポップス
・ジャズ・ゼクステット

どれも楽しかったが、共演者が豪華すぎて、恐縮。四重奏では楽譜を忘れた(スミマセン)。明日は筑波研究学園都市吹奏楽団を聴きに行って、後夜祭のステージに乗って、非日常な3日間は終わりを迎える予定。

Saxologie到着

ダニエル・ケンジー氏の著作「Saxologie」が、私+3人の方のところに到着した。Adolphesax.comに注文したはずなのに、なぜか版元のNOVA MUSICAから送付されてくるという不可解さ…。まあ、きちんと届いたから良しとしよう。

フランス語…まったく読めません(T_T)が、近日中にがんばってレビューします。内容、濃すぎ。

それから、オランダよりとある楽譜が到着。ふっふっふ…。まあこちらは、人前に出せるようになったら告知します。何の曲かというと、「○ー○○○○○ー○」のsax4版( ̄ー ̄)ニヤニヤ。

2007/10/04

Anubis Quartet on YouTube

アヌビス四重奏団 Anubis Saxophone Quartetは、アメリカのオハイオ州で活動する四重奏団?だそうだ。"アヌビス"とは、エジプトの神話に登場する死の世界の神の事。カッコイイ名前ですな。彼らのファースト・リサイタルの様子がYouTubeにアップされていていたので、貼り付けておこう。どれも「現代曲」なのだが、技術的には高レベルで、感心しきり。

調べてみると、彼らはボウリング・グリーン・ステート大学の同門…つまり、あのジョン・サンペン John Sampen氏の門下生だそうだ!(先輩格のSax 4th Avenueは有名ですね)。どおりで上手いわけだ。それを考えると、このハードなプログラミングにも納得することができる。

ティエリー・アラの3本のソプラノサクソフォンのための「トライクロミー」がツボにはまった。ソプラノで奏でられる高音域の響きが、とっても独特。ちなみにここ最近、アラのサックス作品といえば、無伴奏ソプラノサックスのための「デジタル」がトレンディ。そのうち聴いてみたい。

・Ernest Papier - Axe a 4


・Thierry Alla - Trichromie


・Rico Gubler - Loud Speakers

2007/10/03

Amstel Quartetの新CD

Amstel Saxophone Quartetの新CDがリリースされたそうな。

ガブリエル・フォーレ「ペレアスとメリザンド」組曲
アレクサンドル・グラズノフ「サクソフォーン四重奏曲作品109」
フィリップ・グラス「サクソフォーン四重奏曲」

こりゃまた、気合の入ったアルバムですなあ。グラズノフとグラス入っているし買おうかな。フォーレの組曲(ピアノを加えた編成へのアレンジだそうだ)も、面白そう。現地時間で明日20:00から、アムステルダムにおいて発売記念演奏会。いいなー聴きに行きたいなー。

ちなみにグラズノフのアムステル四重奏団の演奏は、ムービーで観ることができる(こちらの記事参照のこと)。何と驚いたことに、暗譜だ ∑('□'/)/!!

たまには、吹奏楽のCDなど…

中古CD屋さんでゲットした吹奏楽のCDをご紹介。

ロン・ネルソン Ron Nelsonは、アメリカの作曲家で、主に合唱の分野と器楽の分野へ作品を提供している。若いころに培ったオルガニストとしてのバックグラウンドを感じさせる、効果的な和声を炸裂させた作品が多い。このCD「Holidays & Epiphanies(Reference Recordings RR-76CD)」は、アメリカ屈指のプロ吹奏楽団、ダラス・ウィンド・シンフォニーがネルソンの作品に取り組んだCD。指揮はジェリー・ジュンキンとネルソン本人。

個人的な感情を持ち出して申し訳ないが、ネルソンの「ロッキー・ポイント・ホリデー」「パッサカリア」の2作品は、以前からとても好きな曲であるのだ。特に後者は、数ある吹奏楽曲の中でも傑作に位置するものだと常々感じている(ABA始め、吹奏楽作品に与えられるさまざま賞を総ナメにしたという話)。今までは、アメリカ空軍バンドのライヴ版辺りを楽しんでいたのだが、まとまった録音を手元に置くことができるのは、ありがたい。しかも800円の叩き売り!

今回新たに、「ラウズ」と「エピファニー」という作品の面白さに気づくことができたのが良かった。いずれもやや宗教的な事柄に題材を取ったものだが、炸裂する陰鬱な響きが、なんともクール。演奏も最高で、ライヴ盤かと思わせるような激しいテンションには、何度かのけぞってしまった。

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怪しいCDだ。ジャケットの紋様は、よくよく見ると「楽」の文字。…ネバダ州立大学ラスベガス校バンドをご存知だろうか?"人を喰ったような"アルバムを何枚もリリースし、吹奏楽界に刺激を与え続けているアメリカでは超有名なバンドだ。指揮はトーマス・レスリー教授と、TAD鈴木氏。最近発売されたという、ネイサン・タノウエの新作 featuring エリック・マリエンサル(!!)が入ったCDはちょっと興味があるが、未だ手に入れていない。

このCDでの注目は、何といっても初演者の組み合わせによるエリック・ウィッテカー「ゴースト・トレイン」の演奏だろう。おそらくウィッテカーと何度もリハーサルを重ねたであろう、綿密な解釈の固定を聴くことができる。と、目指すベクトルの一致はかなり成功しているのだが、いかんせんアマチュアの大学生、演奏は何とも大味&炸裂系。音程に不安を感じるところすら散見されるほど…だが、それが良い!(笑)

産声を上げたばかりの「ゴースト・トレイン」という作品が、まさに発進しようとするその瞬間を切り取った、貴重な録音だ。大阪市音の演奏のような洗練された感じも良いけれど、ラスベガス校バンドのような演奏は、この瞬間にしかできないのだなあ(しみじみ)…この曲に取り組む向きには、ぜひ一度耳にして欲しい録音。

その他何曲か入っているのだが、一曲目で突然漏れ聴こえてくるカノンのメロディ、バーンズの「パガニーニの主題による幻想変奏曲」での打楽器軍団の爆発、「エルザの大聖堂への行列」での見事かつ豪快な踏み外しっぷり、アンコールとして配置された「サーカス・デイズ」での若者的ノリ、等々、ツッコミどころ、いやある意味聴き所が多すぎて、お腹いっぱい。

2007/10/02

ディスクユニオン@新宿

日曜日、東京経由で横浜に出たついでに、東新宿に新しくできたというディスクユニオンに立ち寄ってみた。オープンしてから日にちが経ってない日曜昼、ということもあり、店内は盛況。「サクソフォーン」「現代音楽」の棚を眺めるも、ロクなCDがなく(そもそも、求めること自体が間違ってる)、仕方なく店内のほかの場所を散策した。

LPを眺めていたところ、ジョリヴェ作品を収録したERATO盤がけっこうあってついつい手に取ってしまった(買わなかったけど)。その他、珍しくデファイエQのLPなど発見したが、残念ながらEMIの国内版(ピエルネ、デザンクロ、リヴィエ、シュミット)。

吹奏楽の棚が面白かったな。有名どころから、聞いたことのないような軍楽隊まで、CDがざっと見ただけでおよそ200枚。特にマーチ関連のCDが充実しており、これはマーチ大好きな方にはたまらんでしょうなあ。

ちなみに、結局買ったのはダラス・ウィンドシンフォニーのロン・ネルソン作品集と、ネバダ州立大学ラスベガス校のゴースト・トレイン。ロン・ネルソンの作品集は手元に置いておきたいと常々思っていたのだが、一枚800円なら安いものだ!と思わず買ってしまった。オトクー。ちなみに吹奏楽のCDを買ったのは、なんと5年ぶり。

2007/10/01

サクソフォンアンサンブル・なめら~か第7回定期演奏会

先ほど帰ってきた。今日は雨模様だったためつくば⇔東京間の交通としてバスを使った。復路で23:00東京発の最終バスに乗るには、横浜を22:00までに出れば余裕を持って間に合う、ということを学習(笑)。

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みなとみらい小ホールは、実は初めて入ったのだが、予想以上の広さに驚いた。300~400席くらいかな?その席が、7割近く埋まってしまうというのも驚きだ。家族の方々、サックス吹きの方々(プロの方もいた)、常連さんっぽい方…。7回の定期演奏会を重ねてきて、聴衆の中にしっかり根付いている証拠だろうか。

演奏会前半はアルベニス、バッハ、ドビュッシーの作品を四重奏曲にアレンジしたもの。ホールの上質な響きとの相乗効果で、良く混ざり合ったなめら~かな音が耳に飛び込んでくる。「コルドバ」は個人的に大好きな曲だが、久々に生で良い演奏を聴くことが出来て嬉しかった。というか、皆さん上手すぎっ。社会人になって、これだけ素晴らしい音楽を奏でられるなんて、影でどれだけの努力があるのだろう…。恐れ入ること限りなし。

休憩。思いがけず、先週モアレでご一緒した方に再会。

後半が始まって、ラージ一曲目は、ロンデックス氏の編曲によるグラズノフの「サクソフォーン協奏曲」。独奏は、大栗司麻さん。大栗さん熱演!ある種フランス仕込みのオーラというか(大栗さんはモンペリエ音楽院のブラキャール門下)ぶっ飛ばしっぷりに、圧倒されっぱなし。ラージも負けておらず、ロンデックス編の難儀な譜面を再現することに徹していた。アンコールは、ダマーズ「ヴァカンス」。

メンデルスゾーン。Thunderさんの編曲?で、「序曲」「夜想曲」「結婚行進曲」。最初こそ弦特有のフレーズが厄介な感じを受けたが、徐々にのってきて、「結婚行進曲」なんて本当に感動的な演奏。観客も、スケールの大きな演奏にじっと聴きいっていたようだった。…あ、「ラガデル」の低音もしっかり堪能いたしました。アンコールは、「○○○ー○ー○」。ナゼこの曲?と思考が3秒停止→合点(笑)!楽しかった。また来年も足を運ぼうっと。

そういえば…みなとみらいホールの構造が分からず(爆)、出待ちができず、そのため皆さんにろくにご挨拶もできず帰ってきてしまったのが残念だったなあ。