2017/03/23

アダムズ「サクソフォン協奏曲」のピアノリダクション版

ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏に献呈され、2013年に初演されたジョン・アダムズ John Adams氏の「サクソフォン協奏曲」のピアノリダクション版が存在する(ご存じの方も多いと思うが…)。楽譜を、以下のBoosey & Hawkesのページより購入することができる(20.99ポンド+日本への送料7.75ポンド)。
https://www.boosey.com/cr/purchase-music/John-Adams-Saxophone-Concerto/58118

アメリカのサクソフォン奏者、スティーヴン・ペイジ Stephen Page氏によるYouTube動画も、最近アップロードされた。


21世紀に入って作曲された「サクソフォン協奏曲」の中でも、とりわけ大規模かつ野心的な作品のひとつとして、歴史にその名を残すものであろう。初めて聴いた時はいまいちピンと来ず…だったが、噛めば噛むほど味わい深い内容である(正直言えば、今でもどちらかと言えば「シティ・ノワール City Noir」のほうが好きだが)。ジャズの語法が、無調系フレーズに薄く覆い隠されている。普通のクラシック・スタイルでの演奏を跳ね除けてしまうような、密度の濃い作品だ。

ピアノリダクション版が出来たということで、そのうち管打コンの本選課題曲になってもおかしくないのでは、と邪推。

2017/03/16

トマジ「協奏曲」吹奏楽版 on YouTube

アンリ・トマジの「サクソフォン協奏曲」の、吹奏楽版演奏がYouTubeにアップされているのを見つけた。

演奏は、Grégory Letombe氏(パリ国立高等音楽院のドゥラングル門下卒業生で、アレクサンドル・ドワジー氏やクリストフ・ボワダン氏と同期にあたる)と、そしてバンドはなんとギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団!指揮はギャルドではおなじみのフランソワ・ブーランジェ氏である。演奏の日付は2017/3/11…わずか5日前!

Letombe氏は、クランポンのSenzo使いとのこと。時折、いかにも「クランポンらしい」輝かしく芳醇な音色が聴こえてきて、唸らされる。全体的な独奏パートの解釈は至極まっとうであり、最新のトレンドとの差を感じつつ、中堅~ベテランの奏者が奏でるどっしりした演奏を楽しんだ。バックのギャルドは、もっと高精度な演奏も可能なのではないかなーと思いつつも、一方でさり気なく難しいフレーズをこなしていたりと、いかにも(^^;

久々にトマジの「協奏曲」を全編通して聴いたが、冒頭~中間部、そして第2楽章のエンディングに向けてなど、全体の構成感が最高である。否が応でも興奮させられる、とでも言おうか。はやり名曲。ところで吹奏楽版のアレンジは誰の手によるものなのだろう。仲田守氏が編曲しているのはよく知られているが、この演奏が同じアレンジかどうかは分からなかった。

2017/03/15

ドナルド・シンタ氏とオクラホマ州立大学バンドの共演

アメリカのサクソフォン奏者、ドナルド・シンタ Donald Sinta氏と、オクラホマ州立大学バンドの共演記録録音が、YouTubeにアップロードされている。1978年の録音で、YouTubeにアップロードしたのは当時の録音エンジニアのようだ。

フサ「サクソフォン協奏曲」の録音は、作曲者カレル・フサ氏自身の指揮によるもの。録音状態は良くないが、その奥から聴こえてくるテンションや濃密な音楽は一聴の価値あり。当時のアメリカのサクソフォン界におけるトレンド、そしてシンタ氏の名人芸を存分に堪能した。無伴奏的に演奏される箇所が多いことから、時間・空間の支配をどのように行っているか、という点でも面白く聴けるだろう。

そして、フサにも増して強烈な演奏を残すモンティ。最終部に向けてのアンサンブルを無視した爆速っぷり(何という見事なタンギング!)。ああ、びっくりした。

カレル・フサ「サクソフォン協奏曲」


ヴィットーリオ・モンティ「チャルダーシュ」

2017/03/09

アウレリア四重奏団、活動終了し解散

衝撃的なニュースが飛び込んできた。オランダのアウレリア・サクソフォン四重奏団 Aurelia Saxophone Quartetが、活動を終了し解散することを決めたそうだ。情報の出元はアルトサクソフォン奏者のNiels Bijl氏のFacebook上の書き込み。

活動終了の理由は、各個人の活動の充実に伴う、四重奏団としての演奏活動の減少、その中で演奏品質と今後展望を維持することが困難になったため、とのこと。以下がNiels Bijl氏の書き込み全文。

Aurelia Saxophone Quartet 1982-2017
The Aurelia Saxophone Quartet is ending after 35 years.
The current members Femke IJlstra, Niels Bijl, Arno Bornkamp and Juan Manuel Dominguez have decided to stop playing together as the ASQ. The reasons for this decision are, among others, that the successful development of personal projects and the decrease in number of concerts and concert series has made it difficult to ensure the high level of quality and the ambitions that the quartet holds itself to.
Through playing arrangements and the creation of new repertoire, the Aurelia has contributed to the emancipation of the saxophone quartet as a mature classical ensemble and served as a breeding ground and example for future generations of quartets. Johan van der Linden, André Arends and Willem van Merwijk (co-founders of the ASQ) also played an important role in this impact.
It gives the members of the ASQ much pleasure to see that the number of young and promising saxophone quartets has increased enormously in the Netherlands and, after 35 years, they are proud to make room for the next generations.

同四重奏団は、サクソフォン史を代表する四重奏団の一つといっても過言ではないだろう。その活動の幅の広さ…コンサート活動、CD録音、レパートリー拡充の数々が、現在活動する世界のサクソフォン四重奏に与えた影響は少なくない。例えば、世間一般にピアソラ・ブームが起こる前から、ピアソラ作品にいち早く着目し、サクソフォン界に紹介した功績(ピアソラにサクソフォン四重奏曲を委嘱していたが、ピアソラ自身の死去により叶わなかったとのこと)はその一つだろう。

私自身が特に強い印象を持っているのは、録音における、独特かつ強烈な表現だ。アウレリア四重奏団のために書かれたレパートリーでの演奏にとどまらず、既存のよく知られた作品でもそのスタイルを貫き通していることを、興味深く感じたものだ(例えば「French Music for Saxophone Quartet(Etcetera)」などでの演奏)。2000年のメンバー交代以降、その色合いは若干薄まり、また違ったスタイル…アンサンブルが安定し、練り上げられた部分を前面に出し始めたように感じたが、それでもなおアウレリアらしい強烈な表現は、演奏の根底を大きく占めていたと思う。

ついにライヴで聴く機会はなかった(SaxOpenでそのチャンスはあったが、別のセッションを聴いていた)。2010年代に入ってからは、JacobTVとともに来日する計画等もあったらしいが、予算の都合上それも実現しなかった。

これは、「ひとつの時代の終わり」と言っても大げさではない。残念なことであるが、日進月歩のサクソフォン界、重要なのは過去を惜しむばかりではなく、それを糧に「未来」を作り出していくことである。

以下、メンバーの変遷を写真とともに簡単に振り返る。

1982年~2000年
Johan van der Linden - Sopraansaxofoon
Andre Arends - Altsaxofoon
Arno Bornkamp - Tenorsaxofoon
Willem van Merwijk - Baritonsaxofoon












2000年~2014年
Johan van der Linden - Sopraansaxofoon
Niels Bijl - Altsaxofoon
Arno Bornkamp - Tenorsaxofoon
Willem van Merwijk - Baritonsaxofoon









2014年~2017年
Femke IJlstra - Sopraansaxofoon
Niels Bijl - Altsaxofoon
Arno Bornkamp - Tenorsaxofoon
Juan Manuel Dominguez - Baritonsaxofoon

2017/03/04

アゴラ音楽祭2004実況録音(抜粋)

フランス国立の現代音響研究所IRCAMが毎年開催しているアゴラ音楽祭に、クロード・ドゥラングル教授が登場した際の実況録音(各曲1~2分程度の抜粋だが)を、ressources.ircamより聴くことができる。できれば全編聴ければ…とは思うが、抜粋でもその雰囲気は感じることができる…一部の録音は、サクソフォンが入る前に中断されてしまうが。

http://medias.ircam.fr/search/?q=delangle&selected_facets=is_sound_exact%3Atrue&selected_facets=media_type_exact%3Aaudio&date_order=&selected_facets=set_exact:Agora%20%28festival%2C%201998-2011%29

この演奏会のことは、開催後に野中貿易かセルマージャパンかNSF、どこかに掲載された白井奈緒美さんの「留学生レポート」を読んで知った。当時としては(今でも)驚異的なプログラムに驚き、ああ聴きたかったと悔やんだものだ。世界初演作品の数々、しかも野平一郎「舵手の書」やタディニ「ブレリア」といった名曲の数々をIRCAM肝いりで一気にこなしたドゥラングル教授、果たしてどのような演奏を展開したのかずっと気になっていたのだが、きちんと録音が残っているのだな。

ドゥラングル教授は、この3年後、静岡のAOIで開かれたライヴ「Quest」で、類似プログラムを取り上げた。2004年のアゴラ音楽祭のことを知っていただけに、日本でそのような演奏会が開かれたことが、余計に嬉しかった覚えがある。その2007年の演奏会のことも、懐かしく思い出したのだった。

【2004年アゴラ音楽祭 Claude Delangle : récit】
出演:クロード・ドゥラングル、小林真理
日時:2004年6月4日 20:30開演
会場:IRCAM Espace de projection
プログラム:
Jacopo Baboni-Schilingi - Shift II
Pierre jodlowski - Mixtion
Philippe Hurel - Opcit
Alexandros Markéas - Perilepsis(世界初演)
Ichiro Nodaira - Dashu No Sho(世界初演)
Bertrand Dubedout - Ca va commancer Ca commence(世界初演)
Marco Stroppa - Esquisse, Una Tantum(世界初演)
Philippe Leroux - Un lieu verdoyant
Georgia Spiropoulos - Saksti
JacobTV - Grab It!
Michele Tadini - Buleria(世界初演)

当時のプログラム冊子の一部:

2017/02/23

ギャルド、1961年イタリアにて(木下直人さんより)

おなじみ、木下直人さんより、大変貴重な写真をお送りいただいたので、ご紹介。

1961年の8月に、イタリア・トリノで開かれた、International Musical Military Bands for Manifestations of Italyなる催しに参加した、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の写真だ!(ギャルド以外にもイギリス、ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、スウェーデン、イタリアの軍楽隊が参加していたとのこと)

当時のサクソフォンセクションのうち、3名が写っている。左から、ロベール・ガトー Robert Gateau氏、ジャック・テリー Jacques Terry氏、ミシェル・ヌオー Michel Nouaux氏である。その他、フェルナン・ロンム Fernand Lhomme氏、アンドレ・ブーン André Beun氏、Robert Ceugnart氏、アンリ=ルネ・ポラン Henri Rene Pollin氏が当時のギャルドには在籍していたはずだが、この写真には写っていない。

その他、サクソフォン以外も錚々たる面々。例えば、ヌオー氏の後ろはフルートの名手アンリ・ルボン氏だ。その近くのバソンは、ジャン・ルーシェ氏かな?当時のメンバー表があればもっと調べがつくのだが…。

当時のギャルドをここまで近くで捉えた写真は珍しく、私もポラン氏からお借りした写真の一部で見たことがあるくらいだ。こんなに寄った写真であると、楽器の詳細を読み取れることが面白い。例えばテリー氏のマウスピース…これは、デファイエ氏と同じ、「セルマーのシャロン氏制作による、ネジ一本で開きが変えられるマウスピース」そのもである。後年、フランス国立管弦楽団のラヴェル・コンサート等で使用する様子を観ることができるが、当時からそのマウスピースを使っていたことがわかる。ホルンは、全てベル取り外し式。ピストン式(コル?)とロータリー式が混在していることがわかる。かつてThunderさんがアップされていた記事内部の、秋山紀夫氏のレポートによれば、すべてアレキサンダー製とのことだ。

木下さんには、この場を借りて改めて御礼申し上げる次第。いやあ、送られてきた写真を見た時はハッとしました。以下、少し解像度を下げた写真を置いておく。最大解像度の写真がほしい方は、私に言ってください。

2017/02/20

5th JML公式サイト

今夏に開催されるジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールの公式サイト開設について、fbページにてアナウンスがあった。

http://www.music.mahidol.ac.th/jmlisc/

要項、審査員等の情報がアップされている。審査員の顔ぶれがなかなか面白い。